空気を“つくる”住まい|自然素材と計画換気の設計思想
2026.03.05 Thu

こんにちは。
無垢スタイル建築設計株式会社 新築コンサルティング部の松木です。
食べ物や飲み物を選ぶ際、健康への配慮をされる方は多いのではないでしょうか。
食品添加物や遺伝子組み換えなど、体への影響が話題になることも増えています。
しかし、私たちが最も多く取り込んでいるのは「空気」であることは、意外と知られていません。
人が一日に取り込む“空気の量”は食事の約7倍
人が一日に摂取する量の目安は、飲み物約1.2kg、食べ物約1.3kg。
一方で空気は約18kgにも及びます(農林水産省 統計データより)。
さらに物質摂取量の割合で見ると、

室内空気:57%、公共施設の空気:12%、産業排気:9%、飲み物:8%、食べ物:7%、外気:5%となります。
半分以上を室内空気が占めていることから、住まいの空気環境が健康に与える影響は非常に大きいと言えます。
健康住宅の基本は「自然素材」と「計画換気」
家づくりで重視したいのは、次の2点です。
1. 化学物質の発生を抑える内装材の選定

住まいの空気質は、壁・床・天井・接着剤など内装材からの放散物質(VOC)に大きく左右されます。新築直後の“におい”の多くは、建材や塗料、接着剤に由来する揮発性物質です。
自然素材(無垢材、自然塗料、漆喰など)は、化学物質の放散量を抑えられるだけでなく、調湿性を備えている点が特長。湿度の急変を緩和し、カビやダニの発生条件を作りにくい室内環境を保ちます。
さらに重要なのは素材の“組み合わせ”です。
例えば、表面材だけ自然素材でも、下地や接着剤に強い化学物質を用いれば空気質は改善しません。仕上げ・下地・接着のトータル設計で放散源を最小化することが、長期的に安定した空気環境につながります。
無垢スタイル建築設計株式会社では、素材選定を性能設計の一部として扱い、空気を“つくる建材”という視点で仕様を組み立てています。
2. 必要換気量を満たす設計

いくら発生源を抑えても、換気が不足すれば室内に物質は滞留します。
そこで重要なのが、住宅の気密・断熱性能を前提にした計画換気です。
高気密化された住まいでは、自然任せの通風だけでは空気は十分に入れ替わりません。必要換気量を満たすために、給気と排気のバランス、風量、経路を設計段階から明確にし、各室で空気が“よどまない流れ”をつくります。
また、換気は“量”だけでなく質(流れ方)も重要です。
汚染源が想定される場所から排気し、居室には新鮮空気が行き渡るよう、圧力差と経路を制御。さらに、実測(風量確認や気密測定)によって設計通りに機能しているかを検証することで、机上の性能を体感できる空気質へと落とし込みます。
“空気の違い”は体感でこそ分かる
住まいの空気環境は、数値や仕様書だけでは完全に伝わりません。
においの少なさ、呼吸のしやすさ、朝起きたときの体の軽さ——こうした感覚的な快適さは、素材の選定と換気設計が一体となってはじめて生まれる体験です。
自然素材が化学物質の放散を抑え、計画換気が空気の流れを整える。
さらに、空気の動きや環境の安定性を“見える化”することで、設計思想と実際の住み心地が一致しているかを確かめられます。つまり、**理論(設計)→検証(可視化)→実感(体験)**という三段階で、住まいの空気質ははじめて完成します。
空気は毎日取り込み続ける“生活の基盤”。
だからこそ、図面やカタログの理解を超えて、ご自身の感覚で確かめることが大切です。モデルハウスや実際の住まいで深呼吸してみてください。静かな空気の質は、言葉よりも雄弁に、住まいの本質を伝えてくれます。
無垢スタイル建築設計株式会社 では、自然素材と性能設計に基づく空気環境を、可視化と体感の両面からご案内しています。
“違いが分かる空気”を、ぜひ現地でお確かめください。



