雨の多い日本の先人の知恵

2023.06.25 Sun

こんにちは。建築コンサルティング部の岡部智之です。
年々短くなっているような気がする「心地の良い春」があっという間に過ぎ、梅雨空の雨が降っている外を眺めていると、我が家の子供たちが小さかった頃に読んでいた絵本を思い出します。
絵本が大好きな妻が、絵本の読み聞かせサークルに入っていたこともあり、家に絵本がたくさんあり、子供たちに読み聞かせをしているうちに私も絵本が大好きになりました。
雨が降っている時に思い出すのが『おつかい』です。
 

出典:おつかい さとう わきこ作 福音館書店
 
雨の日に、女の子がおつかいをたのまれました。「あしがぬれちゃう」「ふくがぬれちゃう」「かみのけがくしゃくしゃになっちゃう」と大さわぎ。傘もさして、長ぐつもはいて、レイン・コートも着て、帽子もかぶって、おつかいへ行くには準備万端です。でも女の子は水がたくさんになったら……と不安が消えません。ボートや浮き輪、ゴーグルをもって、やっと、おつかいに出かけることになりましたが……。
最高の結末が待っています!
 
これからも「無垢スタイル建築設計 新築事業部スタッフブログ」で、大好きな絵本を紹介していければと思います。
 

雨の多い日本の建築といえば

さて、日本の年間降水量は、世界平均の2倍以上あります(日本は年間約1,690ミリに対し、世界平均は810ミリ)。雨の多い日本の建築といえば、柱と梁を組んで建てる「木造軸組工法」が伝統的で、無垢スタイルもこの工法を進化させたものです。
木造軸組工法は、以下の順番に家が出来上がります。
①基礎を作る ②土台、柱、梁を架け、屋根の骨組みを作る ③屋根の仕上げをする ④床や壁の工事をする
木造軸組工法は、柱や梁といった骨組みを組んだ後に、いきなり屋根の工事をします。順序として、下から順に仕上げていけば簡単そうなものの、床や壁の工事の前に、わざわざ上から仕上げます。
では、何故こんな非効率的なことをするのでしょうか? 
理由は、雨が多い国だからです。
屋根を先に仕上げるので、雨曝しになるリスクが減り、もし屋根ができる前に雨が降ったとしても、濡れるのは柱や梁といった骨組み部分のみになります。無垢の柱や梁は表面が濡れても問題がなく、仮に雨で木が湿気を吸い込んだとしても、時間の経過とともに、元の水分量に木が呼吸をして戻してくれます。 
 

ツーバイフォー工法について

一方、北米で発祥した木造枠組壁工法:(ツーバイフォー工法)は、積み木と同じで①床のパネル ②壁のパネル 最後に③屋根を作っていきます。そのため、屋根の仕上げまで10日以上時間がかかります。その間に雨が降ると、床パネル(合板)や壁パネルがそのまま雨に当たります。構造用合板が長時間濡れた状態にあると、カビの原因や、接着剤の強度にも影響します。ですので、もし雨が降っても合板が濡れないように、完全に養生することが必須になるのですが、いつ降るかわからない雨のために、完璧な養生を屋根が仕上がるまで毎日することは、おそらく効率から考えても難しいのではと。
 
そして、雨が降ると・・・
 

 

 
この写真は、ゲリラ豪雨の後に、たまたま近くにあったツーバイフォーの現場にて撮った写真です。見事なほど合板が濡れており、合板が完全に乾くまで相当の日数がかかり、カビも出ることだと思います。強度も心配です。
 
日本は雨の国です。世界平均の2倍雨が降ります。雨の少ない北米では、雨を気にせず下から順番に建てるのが合理的ですが、日本の建築においては、一見非効率的と思える『屋根先行』の工事をすることが、先人が編み出した最も合理的な工法であると言えるのです。
 
天然の無垢材を構造に用いた建築物は、歴史ある神社仏閣等の木造建築でも明らかなように、数百年にもおよぶ頑強さを証明しています。100年住宅を実現するため無垢スタイル建築設計の使用する柱・梁・桁・土台・大引きなど全ての構造材は、含水率を20%以下にした良質の乾燥材を使います。各部材はコンピュータ制御で工場生産された精度の高いプレカット材。確かな素材選定と先進のテクノロジーにより構造部分の強度と精度をさらに高め100年住宅を目指しています。
 
100年耐久住宅
 
 

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