~熱の伝わり方~体感温度の計算方法について
2023.07.20 Thu
こんにちは、建築コンサルティング部の大林です。
家を建てる時、または、どのような家を建てるか考える時、最近では多くの方が必ずと言っていいほど気にされる要素の中に、「断熱性」があるかと思います。
断熱性が高いと快適に住めるというのは間違いないと思います。
ただ、同じ断熱性能の建物でも、冬の暖房の仕方をどのようにするかによって、生活の快適さが変わるということもあります。
今回は、冬場の暖房をイメージしていただいて、建物の中で熱がどのように動いているのか、少し詳しくお伝えしてみたいと思います。
熱の動き方
まず熱の動き方の特徴についてです。
熱の伝わり方には以下の3つがあります。
- 伝導
- 対流
- 放射(輻射)
「伝導」とは
物と物が接触した時に、その接触面から熱が伝わる現象です。
例としては、ホットカーペットや湯たんぽなど、触ったところだけあたたかさを感じるのは伝導によるものです。
「対流」とは
空気が動くことで、その空気の熱が伝わる現象です。
例としては、エアコンによる冷暖房は対流によるもので、あたためられた(冷やされた) 風が人に熱を伝えます。
「放射」とは
物の熱が電磁波という状態で四方八方に放出され、空気などの熱を伝える物質(媒体)が無いのに、離れたところに熱が伝わる現象。輻射ともいいます。
例としては、太陽の熱が地球に届くのは、放射によるものです。太陽から放出された電磁波が地面をあたため、その熱が大気をあたためています。
エアコンの暖房の仕方は対流です。
対流というのは輻射に比べると、熱の伝わり方の効率は良くないのですが、断熱、気密性の高い家の場合、エアコンによって対流で空気を温め、空気から壁や床や天井に熱が伝わり、一旦表面のものが温まると、なかなか冷めなくなり、温まった壁床天井から、輻射によって人の体が寒くない状態になります。
逆に、昔の家のように、断熱性や気密性が低い場合、エアコンやストーブから出た温かい空気が空気を温めますが、壁床天井は外気に冷やされ温められないため、表面温度が上がらない状態になります。
(室温+表面温度)÷2 = 体感温度
となりますので、室温が24℃だったとしても、壁床天井の表面温度が10℃なら体感温度は17℃ということになります。
エアコンの風を不快に感じるため、床暖房の方が快適だとイメージしている方が多いのですが、実際は、床暖房だと床面の温度が28℃~32℃ぐらいになりますので、冬の前後で、暖房の調整が難しい時期だと、お風呂上がりになどに足がほてって不快に感じることがあったりします。
断熱性気密性が高い家の場合、エアコンの暖房で壁床天井を温めて、表面温度が24℃ぐらいになると、寒さをまったく感じなくなり、エアコンは空気を保温しているだけですので、体に気流を感じることもほとんどない状態にできます。
また、2階建てなどで吹抜けを作ると暖かい空気が2階に上がってしまい、1階の暖房が効きにくくなるイメージをされる方も多いかと思いますが、例えば室温が22℃で安定している時に、もう少し温かくしようと思って25℃設定でエアコンをつけた場合、22℃と25℃では温度差が少ないため、温かい空気が上に上がってしまうという現象がほとんど起きません。
断熱性が高くても、気密性が低い場合は建物のすき間から冷気が入ってしまうため、足元が冷えることもありえます。
このように、今までのイメージ、生まれ育った家のイメージで暖房の仕方を考えてしまうと間違えた発想につながってしまうことがありますので注意が必要です。
ご参考にしていただければと思います。
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